自己負担2,000円で様々な返礼品を楽しめるふるさと納税
ふるさと納税を行う方は様々なふるさと納税サイトにあるシミュレーションを使って、限度額ぎりぎりを見定めて寄付をされている方も多いかと思います。
シミュレーションにあたっては、昨年度の源泉徴収票を参考にしながら必要事項を記入していきます。
毎年発生する保険関連の控除はしっかり記入できますが、初年度の住宅ローン控除や非定期的な医療費控除は忘れがちではないでしょうか。
我が家では2021年に住宅ローン控除に加え、第2子出産で申請対象となるであろう医療費控除を受ける予定です。
控除が増えれば当然納税額が減りますので、ふるさと納税の上限も下がる可能性がありますので、今回はどれほど影響するのか計算していこうと思います。
ふるさと納税の上限額ってどれくらい?
まずはそもそもふるさと納税の上限額がどのように決まっていくのかを確認します。
ふるさと納税の控除対象
ふるさと納税の控除対象は自己負担の2,000円を除き、下記のとおりです。
いきなり複雑な言葉が3つも出てきたので、細かく見ていきます。
所得税分の控除
※上限:寄附金額が総所得金額等の40%
※復興特別所得税の2.1%が加算
なお総所得金額とは下記のとおりです。
総所得金額等は、総合課税の対象となる所得に分離課税の対象となる所得を加算した金額です。前年分から繰り越した損失があれば、繰越控除した後の所得額を用います。(出典:Zine)
一つの企業から給与収入を得ており、確定申告が不要なサラリーマンであれば、総所得と同義となります。
住民税基本控除
- 控除方法:税額控除
- (寄附金額 - 2,000円) × 10%
※上限:寄附金額が総所得金額等の30%
住民税特例控除
- 控除方法:税額控除
- (寄附金額 - 2,000円) × (90% - 所得税の税率×1.021)
※上限:控除額が住民税所得割額の20%
ふるさと納税の控除の中身と上限額
以上3つを見てきましたが、上限を超えないことを前提にすると、下記の一つの式にまとまります。
ふるさと納税の控除額 = 所得税分の控除 + 住民税基本控除 + 住民税特例控除
また控除を満額受ける上限額を見ていくと、最も上限が低いのは「住民税特例控除」となります。
寄付金額の上限をXとすると、
住民税所得割額 ×20% = (X - 2,000円) × (90% - 所得税の税率×1.021)
⇔X = 住民税所得割額 × 20% ÷ (90% - 所得税の税率 × 1.021) + 2,000円
となります。
住民税所得割額とは?
ふるさと納税の控除上限額は住民税所得割額に依ることが分かりました。
そこで今度は住民税所得割額を見ていきます。
住民税所得割額は、総所得から給与所得控除・基礎控除・配偶者控除を引いた課税所得に10%を掛けた所得割より調整控除を引いた額のことです。
調整控除は所得税と住民税の控除額の差を埋める目的で導入されているものになります。
調整控除を加味しなければ、住民税の所得割額が20万円の方の場合、ふるさと納税の上限額は下の式のとおり、約52,000円となります。
X = 200,000 × 20% ÷ (90% - 10% × 1.021) + 2,000円
= 52,131円
住宅ローン控除と医療費控除でふるさと納税の限度額はどうなるか
ふるさと納税の上限は住民税の所得割額に依ること、住民税の所得割額の概要が分かりったところで、住宅ローン控除と医療費控除がどのように影響するのか見ていきます。
住宅ローン控除
住宅ローン控除は上限を40万円とし、毎年末の住宅ローン残高の1%が税額控除されます。
原則所得税からの控除ですが、所得税から引ききれない場合は住民税の一部※から控除されます。
※住民税からの控除は所得税の課税所得金額の7%(上限136,500円)が上限
所得税からの控除であれば翌年頭に還付され、住民税からの控除であれば翌年の住民税から減額される形で控除されます。
医療費控除
医療費控除は1年間で医療費が10万円を超えた場合、10万円を超えた部分が各種税金の計算から控除される所得控除となります。
ふるさと納税と住宅ローン控除・医療費控除の併用
それではいよいよ本題のふるさと納税と住宅ローン控除・医療費控除の併用について確認していきます。
確定申告が必要な場合
住宅ローン控除を適用する1年目、医療費控除を申請する年は確定申告が必要です。
確定申告を行う場合、ふるさと納税は所得税および住民税から控除されます。
ふるさと納税控除額の上限に変更ないものの、所得税控除分は下記のとおりです。
所得税控除分 = (寄付金額 - 2,000円)× 所得税の税率
また医療費控除は所得控除のため、そもそもの所得税が少なくなることに注意が必要です。
医療費控除による所得税控除分 = (支払った医療費 - 10万円)× 所得税の税率
したがって、ふるさと納税10.2万円、医療費20万円、所得税20%の方であれば、
(102,000円 - 2,000円)× 20% + (200,000円 - 100,000円)× 20% = 40,000円
の所得税が還付されることになります。
所得税が4万円還付されるということは住宅ローン控除で還付される所得税が4万円減る可能性があるということです。
所得税支払額と住宅ローン控除の金額がほぼ同じ方は要注意です。
確定申告が不要な場合
住宅ローン控除が2年目以降になる方、医療費控除を用いない方などは確定申告が不要となり、その際はふるさと納税の「ワンストップ特例制度」を用いることが可能です。
ワンストップ特例制度を用いることで、ふるさと納税による控除分は全額住民税より控除されます。
そのため、住宅ローン控除が全額所得税より控除されている方は問題ありませんが、一部が住民税より控除されている場合は要注意です。
しかし、住宅ローン控除の一部が住民税より還付されている状況はそもそもそれだけの住宅ローンを借りていない可能性が高く、心配は少ないかと思います。
まとめ
毎年楽しみなふるさと納税ですが、住宅ローン控除や医療費控除を利用した場合、限度額が減る可能性について、今回は調べてみました。
確定申告を行わない方であれば大きな問題はありませんが、確定申告を行う方は住宅ローン控除の原則的な対象となる所得税に影響が出てきます。
控除の優先順位は①医療費控除(所得控除)→ ②ふるさと納税(税額控除)→ ③住宅ローン控除(税額控除)となるため、住宅ローン控除が全額還付されない可能性があります。
住宅ローン控除がすべて所得税から還付されている方であれば問題はありませんが、一部が住民税から控除されている場合、控除額が減る可能性があるため、ご注意ください。
以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
非常に複雑な計算式のため、住民税から住宅ローン控除を受けている方は、各種ふるさと納税サイトでのシミュレーションがおすすめです。
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