今回の記事では、前回記事にしたふるさと納税と住宅ローン控除・医療費控除の併用について、実際に専業主婦と未就学児2人の我が家の(自分自身の)源泉徴収票に記載されている金額を元に計算をしてみます。
言葉では分かるけど…、ふるさと納税のシミュレーションが本当に正しいのか不安…といった方は、ご自身の源泉徴収票とともに是非ご参考ください。
※注意点
なお計算にあたって、多少の金額は丸めたり、ぼやかしたりしますが、ほぼ実際の金額で計算していきます。
また大勢に影響しない細かい計算は一部省略します。
給与所得を求める
まずはほとんどの税金のベースとなる課税所得を算出するために必要な給与所得を計算します。
- 支払金額(総所得) - 給与所得控除 - 特定支出控除 = 給与所得
支払金額(総所得)
こちらは1年間で得た給与・ボーナス(賞与)の合計となります。
源泉徴収票では「種別」の隣にある欄に記載されています。
給与所得控除
給与所得控除とは「サラリーマンも色々スーツ買ったり経費掛かるだろうから、あらかじめ引いておくよ!」という粋な制度になります。
給与所得控除は収入金額に応じて、一律で税金の計算から自動で控除されます。
特定支出控除
特定支出控除は下記の項目に掛かった費用が給与所得控除額の1/2を超えた場合、給与所得控除額の1/2を超えた部分について控除されるものとなります。
例えば額面年収600万円の方であれば、
(600万円 × 20% + 44万円) × 1/2 = 82万円
と、82万円を超える支出があった場合は、超過分が控除対象となります。
給与所得
給与所得を求めるのに必要な支払金額、給与所得控除、特定支出控除が分かりましたので、これで給与所得が計算できます。
源泉徴収票では計算が不要で、「支払金額」の隣にある「給与所得後の金額」が給与所得に該当します。
実際に計算してみた
私の支払金額は8,200,000円であったため、給与所得は下記の通りになります。
- 支払金額:8,200,000円
- 給与所得控除:1,920,000円
- 特定支出控除:0円
給与所得:8,200,000円 - 1,920,000円 - 0円 = 6,280,000円
課税所得(所得税)を求める
課税所得を算出するのに必要な給与所得が分かったので、次は税率が直接掛かる課税所得を計算していきます。
なお各種所得控除の額は所得税と住民税が異なるため、別々に見ていきます。
各種所得控除
各種所得控除は社会保険料や生命保険などが該当します。
- 雑損控除
- 医療費控除:10万円を超えた部分のみ
- 社会保険料控除(源泉徴収票の「内」は小規模企業共済等掛金控に該当する金額)
- 小規模企業共済等掛金控除(iDecoなどの個人型年金加入者掛金)
- 生命保険料控除:上限12万円(生命保険・年金保険・介護保険で各々上限4万円)
- 地震保険料控除(火災保険は控除対象外):上限5万円
- 寄付金控除(確定申告した場合、ふるさと納税はこちらに該当)
- 障害者控除:一般障碍者27万円、特別障碍者40万円、同居特別障害者75万円
- 寡婦(寡夫)控除
- 勤労学生控除
- 扶養控除:38万円~63万円(16歳以上で所得48万円未満の扶養家族が対象)
- 配偶者控除:13万円~38万円(納税者の収入が1,000万円以下かつ控除対象の配偶者がいる場合)
- 配偶者特別控除:1万円~38万円(配偶者に年間48万円以上の収入がある場合)
- 基礎控除:48万円(収入が2,400万円以下の方のみ)
控除対象の項目が非常に多く分かりづらい部分もあるかと思います。
特に関係する項目でいうと、扶養控除と配偶者控除ではないでしょうか。
- 16歳以上18歳以下(一般扶養親族):38万円
- 19歳以上22歳以下(特定扶養親族):63万円
- 23歳以上69歳以下(成年扶養親族):38万円
- 70歳以上(同居)(老人扶養親族):58万円
- 70歳以上(別居)(老人扶養親族):48万円
なお源泉徴収票では、「控除対象扶養親族の数」の欄に、それぞれ人数が記載されており、一般・成年扶養親族は「その他」に記載されております。
源泉徴収票では所得控除の合計額が「所得控除の額の合計額」の欄に記載されています。
実際に計算してみた
私が適用される各種所得控除から計算した課税所得(所得税)は下記のとおりです。
各種所得控除
- 医療費控除:100,000円
- 社会保険料控除:1,180,000円
- 生命保険料控除:105,000円
- 地震保険料控除:5,000円
- 扶養控除:0円(子供が16歳未満のため、対象外)
- 配偶者控除:380,000円
- 基礎控除:480,000円
課税所得(所得税):6,280,000円(給与所得) - 2,350,000円(各種所得控除) = 3,930,000円
所得税
課税所得(所得税)が分かれば、後は所得税の税率を掛け算するだけです。
速算表を用いれば、課税所得(所得税) × 税率 - 控除額で所得税を算出可能です。
※実際には2037年まで復興特別所得税として、上記の所得税から税額控除を勘案した「基準所得税額」の2.1%が加算されます。
実際に計算してみた
住宅ローン控除で40万円還付の予定なので、差額の41,500円分が住民税からの控除に回ることが分かりました。
課税所得(住民税)を求める
所得税が分かったところで、次は住民税です。
住民税の計算方法は所得税とほとんど同じですが、各種所得控除額に違いがあります。
- 雑損控除
- 医療費控除:10万円を超えた部分のみ
- 社会保険料控除(源泉徴収票の「内」は小規模企業共済等掛金控に該当する金額)
- 小規模企業共済等掛金控除(iDecoなどの個人型年金加入者掛金)
- 生命保険料控除:上限7万円(生命保険・年金保険・介護保険で各々上限2.8万円)
- 地震保険料控除(火災保険は控除対象外):上限2.5万円
- 障害者控除:一般障碍者27万円、特別障碍者40万円、同居特別障害者75万円
- 寡婦(寡夫)控除
- 勤労学生控除
- 扶養控除:33万円~45万円(16歳以上で所得48万円未満の扶養家族が対象)
- 配偶者控除:11万円~33万円(納税者の収入が1,000万円以下かつ控除対象の配偶者がいる場合)
- 配偶者特別控除:1万円~33万円(配偶者に年間48万円以上の収入がある場合)
- 基礎控除:43万円(収入が2,400万円以下の方のみ)
所得税と比べると控除額は少ないですが、住民税の場合、ふるさと納税が該当する「寄付金控除」は所得控除ではなく、税額控除になる点は要注意です。
また扶養控除および配偶者(特別)控除は下記のとおりとなります。
- 16歳以上18歳以下(一般扶養親族):33万円
- 19歳以上22歳以下(特定扶養親族):45万円
- 23歳以上69歳以下(成年扶養親族):33万円
- 70歳以上(同居)(老人扶養親族):38万円
- 70歳以上(別居)(老人扶養親族):45万円
配偶者(特別)控除
(出典:東京都主税局)
実際に計算してみた
私が適用される各種所得控除から計算した課税所得(住民税)は下記のとおりです。
各種所得控除
- 医療費控除:100,000円
- 社会保険料控除:1,180,000円
- 生命保険料控除:70,000円(上限)
- 地震保険料控除:5,000円
- 扶養控除:0円(子供が16歳未満のため、対象外)
- 配偶者控除:330,000円(しょっぱい!)
- 基礎控除:430,000円(こっちもしょっぱい!)
課税所得(住民税):6,280,000円(給与所得) - 2,115,000円(各種所得控除) = 4,165,000円
住民税
課税所得(住民税)が分かれば、後は住民税の税率10%を掛け、均等割分の5,000円を足した額が実際に支払う住民税となります。
実際に計算してみた
- 住民税(所得割) = 4,165,000円(課税所得(住民税)) × 10% = 416,500円
ここに住民税の均等割分5,000円を足した421,500円が住民税となります。
住宅ローン控除で所得税から控除しきれなかった41,500円を住民税から引いても38万円が残るため、無事に全額控除されることが分かりました。
また下記よりふるさと納税の上限額10万でも全額控除されることが分かりました。
416,500円(住民税(所得割))× 20% ÷ (90% - 20% × 1.021) + 2,000円 = 106,399円
まとめ
今回は実際に専業主婦・未就学児2人の我が家の実際の源泉徴収票をもとに計算を行いました。
計算して初めて所得税から引ききれないことが分かりましたが、結果として住民税から引けるとともに、ふるさと納税の上限額にも影響がないことが分かりました。
ふるさと納税サイトのシミュレーションで不安な方は、少し面倒ですが、源泉徴収票をもとに一度計算してみることで、無駄なく控除を受けることが可能です。
以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ふるさと納税にかかわらず、実際に自分の税金を自分で計算してみることで、税金の重さ・節税の重要性を感じられるので、おすすめです。
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