サラリーマンは毎月社会保険料が天引きされていく中、社会保険料を節税する方法を前回ご紹介いたしました。
しかし社会保険料の一つである「厚生年金保険料」は将来の厚生年金支給額に影響します。
今回は本当に毎月の社会保険料を節税したほうが良いのか、それともムリに節税せずに厚生年金として受け取ったほうが良いのかを比較していきます。
厚生年金っていくらもらえるの?
厚生年金ってなに?
厚生年金は国民年金に上乗せされる形で支給される年金のことです。
対象となるのは主にサラリーマンや公務員で、給与や賞与額によってもらえる年金額が異なります。
厚生年金支給額の計算方法
厚生年金には定額部分と報酬比例部分に分かれ、合算額が厚生年金額となります。
ここでは現在毎月支払っている厚生年金保険料が関係する報酬比例部分について、計算していきます。
A:平均標準報酬額×0.005481×平成15年(2003年)4月以降の加入月数
B:平均標準報酬月額×0.007125×平成15年3月までの加入月数
- A+B=厚生年金の受給額(報酬比例部分)
出典:日本年金機構
なお平均報酬額は、標準報酬月額×12か月+標準賞与額によって算出されます。
厚生年金保険料と厚生年金支給額(報酬比例部分)の比較
標準報酬月額
比較シミュレーション
現在30代の私は厚生年金支給にあたり、「A」のみで算出されることになります。
今回の比較にあたっては、下記を前提条件として計算します。
実際に計算を行ってみると、あらゆる標準報酬月額において、社会保険料の節税効果のほうが大きいことが分かります。
変数でのシミュレーション①(受給年数での比較)
具体的な金額は人によって異なるため、変数でのシミュレーションも行ってみます。
- X = 標準報酬月額
- Y = 厚生年金受給年数
- 節税後の標準報酬月額は節税前の標準報酬月額の94%(平均)とする。
節税額が支給額より小さければ、節税を行う必要性が無くなります。
では、節税メリットが無くなる条件を計算してみます。
(総支給額の差)(100-94)% × X × 0.005481 × 456 × Y = 0.14996016XY
(総支払額の差)(100-94)% × X × 15% × 456 = 4.104X
⇒Y = 27.37年
したがって、年金受給年数が27年以上の場合は節税のメリットがないということが分かります。
一方で、年金受給年数が27年未満の場合は節税メリットのほうが大きいことが分かります。
変数でのシミュレーション②(社会保険料率での比較)
続いて受給年数を26年と固定した場合、組合ごとによって異なる保険料率を変数においてシミュレーションします。
- X = 標準報酬月額
- Y = 社会保険料率
- 節税後の標準報酬月額は節税前の標準報酬月額の94%(平均)とする。
先ほど同様に、節税額が支給額より小さければ、節税を行う必要性が無くなります。
では、節税メリットが無くなる条件を計算してみます。
(総支給額の差)(100-94)% × X × 0.005481 × 456 × 26 = 3.89896416X
(総支払額の差)(100-94)% × X × Y × 456 = 27.36XY
⇒Y = 14.2506%
したがって、社会保険料率が14.25%未満の場合は節税のメリットがないということになる一方で、社会保険料率が14.25%以上の場合は節税メリットのほうが大きいことが分かります。
まとめ
社会保険料の天引き額は決して小さくはない一方で、私たちの将来の年金支給額に直結します。
今回は実際に社会保険料を節税することで、年金額がどれくらい減るのかをシミュレーションしてみました。
社会保険料の1種である健康保険料・介護保険料は加入している健康保険組合ごとに決定されるため、一概にどちらがお得かは人それぞれとなりますが、健康保険・介護保険の料率次第では無理に節税すると将来の年金受給額が減少することになります。
また年金受給期間はご自身で決められることではありませんが、受給期間が長いほどお得になります。
健康を維持することはもちろん、ご自身の加入している健康保険組合の料率を確認して、税金と年金のバランスを最適化するようにしましょう!
以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ここまで書いておいてなんですが…お金も大事ですが、何よりもまずは健康が最優先です!
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